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演奏は過去の自分の肖像写真を見るようで自身では気恥ずかしく思うのですが、私という奏者の参考のためにYoutubeで公開しています。

ysaye  solo sonate No.6

 

【解説】

 

名ヴァイオリニストでもあったイザイは、1923年、シゲティの演奏するバッハのソロソナタを聴いたことにインスピレーションを受け、自身でも全6曲のソロソナタを書くことを決意する。イザイは素晴らしい技術と音楽性をもち、大きな人間(精神的にも肉体的にも!)であったことから、多くの作曲家や後輩のヴァイオリニストから尊敬され、愛されていた。フランクのヴァイオリンソナタやショーソンのポエムは彼のために書かれたものだし、ドビュッシーの弦楽四重奏は彼が初演している。

 そして、イザイは6曲のソロソナタをそれぞれ、自分の友や後輩である親しい6人のヴァイオリニストに捧げることにした。

 

第6番のソナタはスペインのマニュエル・キロガ(1892-1961)のために書かれました。キロガはキャリアもこれから、という時に交通事故にあい、引退します。ですので、前述二人ほどには高名ではないかもしれません。それでも残された彼の演奏録音を聴くと、スペインらしい華やかな技巧と色に溢れた演奏をしたヴァイオリニストです。

 イザイは灼熱の日差しを思わせるような、眩しく輝く和音とハバネラのリズム、華やかな技巧を用いて、キロガのガリシアの世界を見事に描ききりました。

 

 

 

 

 

 

2015年2月14日大阪倶楽部で行ったリサイタルからのLIVE録音です。

ysaye solo sonate No.2

 

 

解説】

13世紀のグレゴリオ聖歌、ディエスイレ。「怒りの日」とも訳される。

歌詞は

怒りの日である。かの日こそは ダビデとシビラの予言のとおり 世界が灰燼と化すであろう やがて審判者があらわれて すべてを厳そかに 正される時には どれほどの怖れおののきがあろうか

という、キリスト教徒にとっては、とっても恐ろしい、この世の最後、審判の日を歌ったものなのだけれど、

このメロディは、色んな作曲家が、この世の終焉、死を想わせるものとして、色んな作品のなかにモチーフとして使ったりしている。

ベルリオーズ幻想交響曲然り、ラフマニノフなどロシアの作曲家は特にお気に入りだ。

イザイ作曲のソロソナタ第2番にもこのメロディがモチーフとして使われている。

イザイのヴァイオリン・ソロソナタは全部で6曲あるけれども、一曲ずつそれぞれ別の、イザイが親しかったヴァイオリニストに捧げられている。

イザイが見た、その友人たちの特徴やイメージが、うまくその作品に取り込まれているので、献呈されたヴァイオリニストを知ると、もっと作品の味わいが深くなる。

2番は、ジャック・ティボーという、フランス人の名ヴァイオリニストに書かれている。

6人のなかでも特にファンタジーに溢れた人だと思う。これでこそ、音楽家だな、と思うくらい。大好きです。

 

 

イザイとティボーは22歳違いなんだけれど、まあ、それぐらいの年齢差なら、年をとってからはイザイにとっては若い時の弟子、ぐらいに近しく思えたはず。ちびっ子だったティボーと、有名人だったイザイが初めて出逢ったエピソードは、とてもおもしろいものが残っている。



何しろ、イザイは夢見がちなティボーの性格も知り尽くしていて、とてもファンタジー溢れる作品(第2番)を、彼に書いた。

1楽章は「執念」

2楽章は「憂鬱」

3楽章は「亡霊の踊り」

4楽章は「フーリエ(復讐の魔女)たち」


と、題名をきくだけでも、ぞぞっ、とする副題が付いている。

もう一つのモチーフ、バッハの3番パルティータの明るいメロディ(これはたぶん天や神・善のイメージ)と、冒頭で紹介した「ディエスイレ」のメロディを絡み合わせて、現実ではありえないだろう、想念の世界を作り上げた。

作品に詳しい解説が添付されているわけではないのだけれど、この各楽章にそれぞれ付けられた副題は、ゲーテファウストなどを意識していると思う。

ファウストのなかで、それぞれの観念がどう扱われているか、を知るともっと楽しめます。

例えばフーリエ、3人の復讐の女神たち。

その部分を超訳してみると

彼女らにこれぞ、って狙われたカップル。男性は、簡単に誘惑されて、それぞれに悪口を吹き込んで、どんどん仲を台無しにしてやる。最後はその女を替えなければ命終わるところまで追い詰めてやる、、、

と魔女たち宣言してはります。ぶるぶる。出会いたくない。

イザイは「死」のメロディを魔女、悪の存在のささやきのように、かすれた声で弾かせて、それを疑う良心の声で追わせてみたり、(そのうち良心の声と、悪の声の順番が入れ替わって、人間の心がオカシクなっていくんだけれど)



これが、オモシロイ。(うち、って悪人です)



怖い世界なんだけれど、弾いているととても面白い作品。

なんてったってファンタジーだから。どこまでも自由。

最近、歌舞伎とか、かつしん、とか。ドラマ、人間の心の世界にハマってたこともあって、

でも、あまりに嬉々として弾いてると

女ってコワイ・・・って思われないかな、、って苦笑。

 

2015年2月14日大阪倶楽部で行ったリサイタルでのLIVE録音です。